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藤田湘子の世界 pavo-9.png


俳句鑑賞
湘子の感銘句
  1. はじめに
  2. 初みくじ
  3. 一盞は
  4. 四萬十の
  5. 花に鳥
  6. わが不思議
  7. 蠅叩
  8. 父に金
  9. 血の中の
  10. 海藻を
  11. 生きてゆく
  12. 落葉して
  13. 人参は

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  by Ikuma Wadachi


第七句集『去來の花』より
  わが不思議ラムネの玉に始まりき 藤田湘子
 俳句の種は驚きである。ふとした心の揺れを、コトバに置き換えようとあれこれ舌先に転がし、思い悩む。湘子先生にいつも教示されたのは『俳句は自分の為に、そして自分を詠え』であった。
 それまでに読んだ入門書には、俳句は短いから自分を出さずモノを通して語れと書いてあった。確かにそうだが、そのコツが分らず、往々にして意味不明の言葉と季語を並べ自己満足に陥っていた。しかし、もっと自分を出していいのだと納得すると急に身体が軽くなった。
 掲出句の、自分の事実体験を回想する助動詞「き」で止めたところ、湘子先生の芸である。
 昭和五十九年五月六日の同日作に、名句「藤の虻ときどき空(くう)を流れけり」がある。



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