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2025年  R7
●鷹9月号より
水清く薄羽蜉蝣呼ばれけり
黒揚羽娶りの刻を逃しけり
端居して隣の人を知らざりし
●鷹8月号より
純白をひと日愛せよ山法師
聖五月ヴァチカンの鐘鳴りにけり
白牡丹逝きし者らの名を呼べり
●鷹7月号より
揚雲雀日矢に射たれし高みなる
時すでに葉陰に青きさくらんぼ
●鷹6月号より
湘子帖一冊死蔵地虫出づ
ひと雨にはくれん開くやもしれず
借景の山の焼けたり池の鯉
飲めぬ酒飲みて候ふ桜守
●鷹5月号より
禽獣の肉をくらひて春浅し
橘は神のよりしろ雛の壇
●鷹4月号より
捨てきれぬ欲に我あり干蒲団
我よりも若きが逝けり寒雀
●鷹3月号より
呉須も良し九谷もよしと柚子を盛る
冬の蠅大事なければ動かざる
●鷹2月号より
寒鴉榧切られしを嘆くなよ
神の旅一個の柚子をふところに
暴力の涯に何ある浮寝鳥
●鷹1月号より
彩雲の立ちて夢殿小鳥来る
神有の出雲騒しBorgesに
 2024年  R6
●鷹12月号より
新涼の朝のこだまに呼ばれけり
物書けば蠅虎とこの三日
白萩や命惜しめる風の中
●鷹11月号より
炎天の光の粒子影持てり
黒髪のながくあれかし乞巧奠
師のうたを心に刻めねこじやらし
●鷹10月号より
ひいふうみ源氏火垂のわきにけり
閻王に薊一茎奉る
●鷹9月号より
病む夏の雲居の月の明るめり
天が下雨の芭蕉の音聴かな
カエサルの白き帆船南風吹く
雨粒に打たれし蟻も進みけり
吊橋の真中に蛍わきたてり
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 Memo:
鷹俳句会の俳句雑誌 『鷹』 は
2005年 鷹5・6月合併号以後、小川軽舟 選
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