2025.09.25

轍  郁摩


Ikuma Wadachi

2024年9月〜2025年(令和7)

轍  郁摩


2025年  R7 ●鷹9月号より 水清く薄羽蜉蝣呼ばれけり 黒揚羽娶りの刻を逃しけり 端居して隣の人を知らざりし ●鷹8月号より 純白をひと日愛せよ山法師 聖五月ヴァチカンの鐘鳴りにけり 白牡丹逝きし者らの名を呼べり ●鷹7月号より 揚雲雀日矢に射たれし高みなる 時すでに葉陰に青きさくらんぼ ●鷹6月号より 湘子帖一冊死蔵地虫出づ ひと雨にはくれん開くやもしれず 借景の山の焼けたり池の鯉 飲めぬ酒飲みて候ふ桜守 ●鷹5月号より 禽獣のししをくらひて春浅し 橘は神のよりしろ雛の壇 ●鷹4月号より 捨てきれぬ欲に我あり干蒲団 我よりも若きが逝けり寒雀 ●鷹3月号より 呉須も良し九谷もよしと柚子を盛る 冬の蠅大事なければ動かざる ●鷹2月号より 寒鴉榧切られしを嘆くなよ 神の旅一個の柚子をふところに 暴力の涯に何ある浮寝鳥 ●鷹1月号より 彩雲の立ちて夢殿小鳥来る 神有の出雲騒しBorgesボルヘス
2024年  R6 ●鷹12月号より 新涼の朝のこだまに呼ばれけり 物書けば蠅虎とこの三日 白萩や命惜しめる風の中 ●鷹11月号より 炎天の光の粒子影持てり 黒髪のながくあれかし乞巧奠きかうでん 師のうたを心に刻めねこじやらし ●鷹10月号より ひいふうみ源氏火垂のわきにけり 閻王に薊一茎奉る ●鷹9月号より 病む夏の雲居の月の明るめり 天が下雨の芭蕉の音聴かな カエサルの白き帆船南風吹く 雨粒に打たれし蟻も進みけり 吊橋の真中に蛍わきたてり 2024年9月号 以前(2020 - 2024)へ
Memo: 鷹俳句会の俳句雑誌 『鷹』 は 2005年 鷹5・6月合併号以後、小川軽舟 選


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