これに対して、原子や分子の中で、陽子や中性子の周りを回っている電子の運動は、「ニュートンの運動方程式」では説明できません。電子は1点にあるわけではなく、波として空間に広がった重ね合わせ状態になっています。この波の振る舞いは、「シュレディンガー方程式」という量子力学のルールで決まるのです。
『量子コンピュータが本当にわかる!』 武田 俊太郎
武田俊太郎は、東京大学大学院工学系研究科の准教授。独自方式の「光量子コンピュータ」の開発に取り組んでいる。実用化できれば、室温・大気中でも動作し、通信にも利用できるメリットがあると考えられている。「量子テレポーテーションの研究」で有名になった東大の古澤明教授の隣室の実験室で研究しているそうだ。
量子コンピュータが本当にわかる! (技術評論社発行)
シュレディンガー方程式の解説図 (上記 p176、図6より)
一昨夜の午後8時37分30秒頃から3分ほど、南西の空から北東へと通過する国際宇宙ステーション(ISS)を、星の光の移動のように肉眼で確認した。
その中には、日本人を含め6名の宇宙飛行士が働いているはずである。
ISSの出現時間や角度、人工衛星や宇宙の星々の軌道計算には、コンピュータ(電子計算機)が無くてはならない時代になっている。しかし、現在のコンピュータは、電気のON,OFFを切り替えるトランジスタの集積回路をチップ化して、1秒間に10億回くらい切り替えて計算している。さらに、トランジスタには縮小化するほど故障箇所が減り、スピードが高速化するという利点もあった。
ところが、トランジスタサイズをこれ以上小さくして、原子1個ほどの大きさまで縮小させると影響が出てしまい、スイッチとして機能しなくなる限界に近づいていると。
そこで、私達が高校までに習った「ニュートンの運動方程式」では成り立たない物理現象・法則の世界では、「量子力学の物理現象」を使った量子コンピュータを完成させ、計算することが必要になってきたという。
ただし、応用可能な量子コンピュータが完成したとしても、何でもできる万能ではなく得意分野があり、まだ、60種類ほどの得意分野に限られ、今後新たな発見により増加するとも指摘されている。
(最新では、コロンビア大学の研究チームが「新種生物」を発見するように、これまで知られていなかった12種類の量子状態、「量子エキゾチカ(exotica)」を発見:April 17, 2025)
科学が発達する(つまり、人間が自然の原理や法則を新たに発見をしたり、仮説をたてて実験や観察で検証して技術開発に応用する)と、これまで見えなかったものや感じられなかったものが、確かな存在として認識できるようになるのだから不思議といえば不思議でもある。(電子レンジなんて、その最たるものか)
例えば、延暦24年(西暦805年)、僧・空海は長安の青龍寺において恵果和尚(阿闍梨)からたった1年足らずの間に真言密教の秘法を伝授されている。未だに未解明であるが、お互いの意識が超伝導状態になり、テレパシーのように流れ込んできたとも考えられる。一言ひとこと声で伝えたり、経文を読んで受得するのではあまりにも時間が短か過ぎるだろう。そう遠くない未来に解明される時がくるかも知れない。また、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』の描画法なども、私にとっては謎のひとつである。
注1:ニュートンの運動方程式
古典力学において、物体の非相対性理論的な運動を表す微分方程式
注2:シュレーディンガー方程式
物理学の量子力学における基礎方程式
注3:古澤明
東京大学大学院工学系研究科教授
