後にも髪脱け落つる山河かな 永田耕衣
俳句は頭で考えるものではない。ただ感じればいい。
俳句のリズムにのって、一瞬頭の中にイメージされるもの。
それが、好ましいかどうか・・・それだけである。
俳句は、詩(ポエム)なのだ。
難解な評論のように、あれこれ筋道をたどって解ろうとする必要はない。
現実世界をピョンと飛び越えてしまう踏切の良さを味わう。
名句ほど、きっとその飛躍の大きさが楽しめるだろう。
歳をとれば、誰だって髪は抜け落ちるもの。冬めくころにはいっそう抜けるものだが、人生を振り返るにはまだまだ早い。愛する山河があるのだから。
今ここで、チャンスの神様の前髪をスパッと掴んでみよう。
彼には、後ろ髪がないのだから。
句集「吹毛集」より。