大腿骨は武器になる

thighbone2014a

スタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」は、不思議な映像から始まった。

猿なのか類人猿なのか、人間の祖先なのか分からないが生き物が、両手が使えることにより、何かの骨を拾って武器として戦い出す。

その骨を空に投げ上げると、高く高く飛んでスペースシャトルへと変化する。

たったそれだけで、10万年くらいの時間が、10分足らずに省略されてしまう実に見事な映像だった。

後に「モノリス」と呼ばれる真っ黒い正体不明の物体の不可解さ。神とも宇宙人とも呼べないナニモノかの意思がそこにあり、生き物の世界が急速に変化する

この映画が、1968年公開とは恐れいるが、アメリカは月世界への一番乗りを目指して莫大な巨費を投じていたことが、今さらながら夢物語のように思えてならない。

アポロ計画では、アメリカ合衆国大統領 ジョン・F・ケネディが、「1960年代中に人間を月へ到達させる」との声明を発表し、それを実行したが、まさにその期間と一致するように、この映画も作られている。

軍需産業には湯水のように経費が注がれるが、そのおこぼれは、産業振興や芸術や文化振興にも、人材流出の形で広く浸透していく。

しかし、その元になる軍需産業そのものを捨て去り、その経費を初めから人間の幸せのために使うことがどうしてこんなにも困難なのだろう。

「人間の幸福」を求める権利などではなく、何か歴然たる名目が必要な国家予算とは、この体の中の大腿骨の脆さにも似て、武器にもなるが宇宙船にもなる、為政者の心のありようで簡単に変わってしまうものらしい。

Esa-Pekkaのインスピレーション

EsaPekka-2014a

フィンランドの現代音楽作曲家、指揮者エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen)が、iPadのコマーシャルに登場している。

現代音楽と言えば、シェーンベルクや武満徹のイメージから、ピアノに向かいながら五線譜に万年筆で楽譜を書いていくものだと思っていたが、やはり時代は進化している。

そう、武満だって五線譜を使わず、奇妙なグラフィックを使って演奏者に指示していたこともあった。

1958年生まれのエサペッカだって、当然、最先端技術やガジェットを駆使したって可笑しくはない。否、アップルのiPadが、やっと作曲家や演奏家にも利用できるハンドヘルドのコンピュータに進化しただけのことである。64ビットだもの。

それでも、何だか少し嬉しい。片手に乗るほど小さな機械をピアノ代わりに使って音を確認したり、シンセサイザーのように採譜に利用したり、Notionアプリを使って編集したり、譜面台のように広げて?みたり・・・

モチロン、「Esa-Pekka Salonen – Composer」の楽曲も、iTunesから購入できる。

そして、今なら30分弱のヴァイオリン コンチェルトが無料でダウンロード可能。

一度お試しあれ。

http://www.apple.com/jp/your-verse/orchestrating-sound/

=======

追伸2018.10.17:上記のiPadの紹介サイトへのリンクはすでに終了。

iPadでの作曲の様子は無いけれど、Esa-Pekka Salonenの音楽は、

Youtubeからも聞くことができる。

Esa-Pekka Salonen, Violin Concerto (2009), Leila Josefowicz and the Philharmonia Orchestra, digitally released 26 May 2014.