ファーバー・カステルの色鉛筆を愛用していたので、
いつからか俳句用にも、軸太のシャープペンシルを使っている。
普段は天然素材にこだわったりしないのだが、手に持った感覚で、
黒く染めた梨の木と梨地クロームメッキの物を選んだ。
一番の決めては、芯の太さだった。
1.4mmのB芯である。残念ながら、2Bは無かった。
本当は鉛筆を使いたいところだが、何本も持つのは荷物になる。
仕事用のシャープペンシルの芯は、0.3から0.5mmを使っている。
しかし、俳句は、いつのまにか太芯で書くようになった。
袋回やホッチキス句会の短冊に即興で作句するとき、字が太いと、
誰にも読み易く、清記の間違いを無くせるとも考えた。
もちろん、俳句では、縦書の文字数が少ないことも要因ではある。
万年筆はインクの乾きが遅く、ボールペンは時々書けなくなったりする。
何より消しゴムが使えるのが、シャープペンシルの最大の利点である。
かつて俳句初学の頃、師匠からパイロットの万年筆をもらった。
何人かの弟子がたまたま同席する編集室で、
師匠:「誰か、俺の太字の万年筆はいらないか?」
弟子A「太字は、好きではありません」
弟子B「大学の先生に、太字は文字が潰れて読みにくいと怒られました」
弟子C「太字の万年筆は、持っています」
師匠:「それなら、・・・にやろう」
そんな訳で、俳句雑誌への投句の時だけは、いつも万年筆の太字にしていた。
短歌も作っていたが、それには、ペリカンの細字の万年筆を反対に向けて、もっと細字になるようにして書いていた。しかし、原稿用紙に合わせてPCからプリンタ出力できるようになり、今は万年筆は、ほとんど使わなくなってしまった。