孔雀群青転生の日の花ふぶき 邦雄
孔雀は色彩豊かな尾羽をもつ大型の鳥である。
人間界はいざ知らず、一般に動物界ではメスよりオスのほうが色鮮やかな意匠が多く、美しい羽も雌鳥を惹きつけ、子孫繁栄に不可欠な旗印でもあった。
英語では、雄鳥はピーコック(peacock)、雌鳥はピーヘン(peahen)とはっきり区別された呼び名もあるが、それは姿形や色の違いがあまりにも大きかったからかもしれない。
鋭い爪や嘴で毒蛇さえも殺してしまうところから、仏教では災厄をはらい安楽をもたらす孔雀明王へと形を変え、「仏母大孔雀明王経」なるものまで伝わっている。
また、現存最古の五十音図は、醍醐寺蔵本、平安中期の書写「孔雀経音義」の巻末に記されているという。