歌の出処
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「玲瓏」十号(1988.07)より
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乱は藍青 (前半十首) 轍 郁摩
恋ひ恋ひて我に賜る恩寵の太刀の刃こぼれ凄まじきかな
水欲りて濁流まねく夢違い駿馬の産を問ひただしをり
罪と罰やさしくむごく若武者の鎧ほどきて肩ぬぎの肌
言の葉はやさしかれども花石榴忘れむとぞ忘れむとぞ謀りぬ
まくなぎに有りと思へる重力の万象の誤差祈りてやまず
音みなのやむときわれの息聴けり残酷に滅ぼしたき世界
消息のとぎれとぎれを嘉しをり菖蒲(あやめ)の藍の濃きひとところ
風さやぐ天の河原に漁(さなど)りし歌姫うたを忘れたまへり
煉獄の風ぞ恋ほしき炎熱の寝汗に冷ゆる後朝(きぬぎぬ)ならむ
「太刀恋ふは古き漢(をとこ)よ」汚さざる手もて滅ぼす惑星ゲーム
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