原発がどんなものか知ってほしい

原発がどんなものか知ってほしい(14)

平井憲夫

日本のプルトニウムがフランスの核兵器に?

 もんじゅに使われているプルトニウムは、日本が フランスに再処理を依頼して抽出したものです。再 処理というのは、原発で燃やしてしまったウラン燃 料の中に出来たプルトニウムを取り出すことですが、 プルトニウムはそういうふうに人工的にしか作れな いものです。

 そのプルトニウムがもんじゅには約一・四トンも使 われています。長崎の原爆は約八キロだったそうです が、一体、もんじゅのプルトニウムでどのくらいの 原爆ができますか。それに、どんなに微量でも肺ガ ンを起こす猛毒物質です。半減期が二万四千年もあ るので、永久に放射能を出し続けます。だから、そ の名前がプルートー、地獄の王という名前からつけ られたように、プルトニウムはこの世で一番危険な ものといわれるわけですよ。

 しかし、日本のプルトニウムが去年(一九九五年) 南太平洋でフランスが行った核実験に使われた可能 性が大きいことを知っている人は、余りいません。 フランスの再処理工場では、プルトニウムを作るの に核兵器用も原発用も区別がないのです。だから、 日本のプルトニウムが、この時の核実験に使われて しまったことはほとんど間違いありません。

 日本がこの核実験に反対をきっちり言えなかった のには、そういう理由があるからです。もし、日本 政府が本気でフランスの核実験を止めさせたかった ら、簡単だったのです。つまり、再処理の契約を止 めればよかったんです。でも、それをしなかった。

 日本とフランスの貿易額で二番目に多いのは、こ の再処理のお金なんですよ。国民はそんなことも知 らないで、いくら「核実験に反対、反対」といって も仕方がないんじゃないでしょうか。それに、唯一 の被爆国といいながら、日本のプルトニウムがタヒ チの人々を被爆させ、きれいな海を放射能で汚して しまったに違いありません。

 世界中が諦めたのに、日本だけはまだこんなもの で電気を作ろうとしているんです。普通の原発で、 ウランとプルトニウムを混ぜた燃料(MOX燃料) を燃やす、いわゆるプルサーマルをやろうとしてい ます。しかし、これは非常に危険です。分かりやす くいうと、石油ストーブでガソリンを燃やすような ことなんです。原発の元々の設計がプルトニウムを 燃すようになっていません。プルトニウムは核分裂 の力がウランとはケタ違いに大きいんです。だから 原爆の材料にしているわけですから。

 いくら資源がない国だからといっても、あまりに 酷すぎるんじゃないでしょうか。早く原発を止めて、 プルトニウムを使うなんてことも止めなければ、あ ちこちで被曝者が増えていくばかりです。


  

原子力発電がなくても暮らせる社会をつくる国民会議
http://genpatsu_shinsai.tripod.co.jp/